絵本の100年と未来研究会

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第11回 座談会「ヨシタケシンスケ(作品)、どう思う?」

先ごろ、“今の小学生に一番支持されている本を決める” “小学生にのみ投票権のある” 「子どもの本総選挙」(主催:こどもの本総選挙事務局)というイベントが大々的にとり行われました。12万人の小学生が投票、そのランキング(結果)が華々しく発表されてみると…ベスト10入りした作品中なんと4作品はヨシタケシンスケ作品!というおどろきの(関係者はなんとなくそんな気がしてた?)結果と相成りました。遡れば2013年『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)の発売以来、衰えることのないヨシタケシンスケ人気。テレビや雑誌、新聞で「絵本」が取り上げられる際には、必ずといっていいほどヨシタケ氏の絵本が紹介され、それらが作品と作者の人気・知名度にさらに拍車をかけています。 「絵本?アレなら知ってます、りんごかもしれないってやつ」「好きな絵本?う~ん、よく知らないけど…ヨシタケって人のは面白いですね」「子どもの本総選挙でベスト10入りした本ならすべて学校の図書館にあると思ってたのに、どうして『りゆうがあります』は置いてないんですか!?」……売れる。とどまるところを知らないヨシタケシンスケ旋風。各種書評・ネット上にも、ヨシタケ作品に疑問を抱く論調のものはほとんどみかけません。 2010年代の絵本シーンが、「ヨシタケシンスケ万歳!」のみで結論づけられそうな中、われわれ〈絵本の100年と未来研究会〉は、いま論じるべきテーマとしてこれを取り上げさせていただきました。 「絵本とはなにか?」「おもしろいとはなにか?」を、時に真剣に、時に和やかに語り合いながら、ヨシタケ作品の中でも今回は『りゆうがあります』『ふまんがあります』(共に2015年PHP研究所刊行)の2作品を取り上げ、読み合いました。すると…?座談会参加メンバーによる様々な視点と意見を、どうぞご覧ください!→PDFはこちら《参加者》東條知美/北尾知子・柴崎大輔・神保和子・なかいかおり/内田かずひろ・かさごえみ・中藤智幹・中藤葵・森本紗也子

第7回 絵本とアニメーション〜その特性・相乗効果を考える

2017年は、日本オリジナルのアニメ作品がつくられて100年という区切りの年。そして2018年は、 近現代の子どもの本のスタートラインである「赤い鳥」創刊100年の年です。ほぼ同じ時期に歩みを進めてきた二つのメディアの共通項、現状の相違点などを考えることで、絵本の未来を考えるきっかけにしたい。現役アニメーション作家、アニメ畑から絵本を志す作家、二つの中間に位置するアプロ ーチの仕事をする人などを交えて、語りあいました。絵本や児童文学は子どもの「ためになる」もの、それに対してアニメーションやコミックスは一段下に考えがちだった一昔前よりは、表現方法の違うメディアとして理解されるようになってきました。今回、双方の立場から違いと魅力が語られることで、そのことを再認識することができました。視聴層(読者)が大人向けにシフトしてきている、作品の魅力だけで収益につなげることが難しくなり、イベントや関連商品など周辺への広がりが不可欠になっているなど、抱えている問題には意外に 共通点も多いこともわかりました。選択肢は増える一方、コミュニケーションツール、他者と共有できるメディアとして、どのように絵本の、アニメーションの魅力を伝えるかは大きな課題です。詳細はリンクデータにてご覧ください。 →PDFはこちら《参加者》東條知美/北尾知子・柴崎大輔・神保和子・なかいかおり・林智子/沢崎友美・濱崎祐一(ドンハマ★)水江未来・アンマサコ/近江寧基・中屋胡桃・廣瀬まゆみ・福井さとこ